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なぜ普通の透かしは AI 洗い落としに負けるのか

公開三ヶ月のメモ

AI 洗い落とし対策は、見えない魔法ではありません。二手です。局所的な画素のずれ(変位透かし)で除去アルゴリズムに目立つ傷を残し、きれいな原図を安く復元できなくする。あるいは極薄い文字と周波数領域の印を残し、深く再描画されていない盗用には追跡できる帰属を残す。

JWProtect を公開して三ヶ月。バックエンドではだいたい 900 枚を処理しました。

使い方とフィードバックを見ながら、ずっと同じ問いを考えています。今の AI の前で、一枚の絵を守ることに意味はあるのか。

ネットでは両極端が多いです。不可視透かしさえ入れれば安心、という話。画面に出た瞬間に AI へ回せば全部消える、全部無駄だ、という話。

みんな万能の鍵を探しています。そんなものはありません。いま起きている盗用と洗い落としに対して、私たちがたどり着いたのは二本の道です。

方法一:変位で構造を壊し、AI が原図を安く直せなくする

半透明の普通の透かしは、AI の消しゴムなら一瞬で消えます。

保護ページの可視透かし、とくに変位は、判子ではありません。線の縁や明暗の境で画素をわずかにずらし、画像そのものの局所構造を壊します。

人の目には少し変わったテクスチャが増える程度で、鑑賞はできます。除去モデルは周囲の滑らかな画素から埋めようとします。意図的にねじった画素に当たると埋め込みは失敗し、汚れや歪みが残ります。

それを完全に消すには再描画の強度を上げるしかありません。上げすぎれば顔が崩れ、余分な手足が出て、別の絵になります。

きれいな原図はもう安く手に入りません。まとめて洗う側にとって、一枚に大きな手直しが要るなら、たいてい捨てます。

方法二:薄い文字と不可視の印で、証拠ごと持っていかせる

繊細なイラストや写真では、画面を汚したくない人も多いです。

それが二本目です。気づかせない。

薄い文字と不可視層(周波数領域の透かしやステガノグラフィ)は、明暗に溶け込むか、目には見えません。保護のあと、検証ページで読み出せます。

見た目のためではありません。ざっと見ると無防備な生データに見えるようにして、AI 洗いを省略したまま公開させるためです。

再描画していなければ、埋めた印と帰属宣言はそのまま残ります。別の場所で公開されたとき、証拠はファイルの中にあり、取り出せます。

証拠を残すだけでは足りない。Provenpix について

防御を足すこと、印の付いた絵を相手に持っていかせることは、前半にすぎません。

毎日全網を目で探すことはできません。たまたま盗用を見つけても、各プラットフォームの申告、サポート、資料提出は面倒で、多くの人が諦めます。

絵を守り、証拠を残すのは前半戦です。

次に作っている Provenpix は後半です。埋めた特徴をたどって店舗や商業アカウントを監視し、無断利用が見つかればタイムスタンプ付きの比較証拠をまとめ、プラットフォームが求める材料の整理を助けます。

防御は作品の身分証です。監視と権利主張で、その身分証を使います。

絶対防盗を信じない。原図を自分で残す

原図と工程ファイルは自分で保管してください。それが本音です。

100% 防盗で絶対に破れない、と言うソフトウェアは嘘です。本気なら画面の画素を手でなぞることさえできます。それを止める技術はありません。

JWProtect も Provenpix も、動機は単純です。絵を描くこと、撮ることは楽しいはずで、投稿のたびに怖がるものではありません。本気で作る人に道具を渡す。強引に消すなら復元を高くし、証拠が要るなら逃げにくくする。